モロヘイヤジュースおんらいん とりあえず 忍者ブログ
狂乱(主に夫婦)についてつぶやいているかオフライン情報載せたりするとか不定期気まぐれ更新■ 同人、二次創作などの意味がわからない方お嫌いな方は全力で引き返してください。
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ちょろっと書いたSSでも投下。
ヴァネ6と雰囲気がかぶったなーと……
夫婦甘々注意



 いつもと変わりない乱崎家の居間。
 そこではいつものようにネコミミを生やした少女がタバコを燻らせながらだらだらと
テレビを見ていた。
「いまいちだなこのドラマ。どうして浮気相手に恋人を取られて引き下がるこの女?
泣いている暇なぞあったら相手の女の家に仕掛けるプラスチック爆弾の製造でも…」
「そんなことを考え付くのはあなただけです」
 凶華の背後から呆れ切った声が降りかかる。
「なんだ凰火。貴様にはわからんだろうな、愛するものを奪われた乙女の気持ちが」
 ぷはーと煙を口から吐き出し、凶華の方も呆れたような顔で返す。
「乙女心がわからないにしても、そんな殺伐とした考えは乙女に浮かばないことくらいは
わかりますよっ、と」
 近づいてきた凰火は凶華の手からおもむろにリモコンを奪い去ると、二人のやりとり
に無視され、垂れ流しになっている昼ドラを消した。
「あ、何をするこの眼鏡め!凶華様の楽しみを…う、わ?!」
 食って掛かろうとした凶華の腕を掴むと、凰火はその華奢な身体を持ち上げ、
ソファに座ると凶華を膝の上に乗せてぎゅっと抱きしめた。
「……おう、か…?」
 いきなりのことに動転し赤面し夫の名を呼ぶ。もう結婚してだいぶ経つというのに突然
こんなことをされるとた凶華の心臓は驚き、早鐘のように鳴り響いた。
「ひ、昼間から凶華様をその腕に抱こうなどと破廉恥な眼鏡だな。それとも何か、凶華様を
ゆたんぽか何かと勘違いでもしているのか?こ、こらそんなにきつくするな!絞め殺す気か!」
 照れ隠しにべらべらと喋り、じたばたもごもご動いてみるも凰火は沈黙する。
 ただ凶華を力の限り抱きしめ、青い髪にそっと頬を寄せる。
「凰火?こら、何か言え!今日かけた眼鏡は口が聞けなくなる呪いの眼鏡だったか?」
「すみません…」
 凶華の頭の上から降ってきたのは、あまり聞いたことがないような弱々しい夫の声。
「おう…か?」
 その意外な夫の態度に、凶華は大人しくなる。
「すみません…少し、甘えさせてもらえませんか?」
 そっと、ネコミミに囁く。
 凰火の声はくすぐったいほどにか細い。その声が耳に溶け込むように染みると、凶華の胸がきゅうっと締め付けられた。
「お、おう、好きにしろ」
 おかしな状況に混乱して、ただそれだけ喉から絞り出すと凶華は大人しく凰火に抱かれた。
 昼下がり。外はいい天気でぽかぽかと太陽が照っている。
 凶華の背中も凰火に包まれぽかぽかしている。
 甘いような、そうではないような不思議な沈黙に凶華がもじもじしていると、ふと頭に何か落ちた
ような違和感を感じる。
 ぽた、ぽた。
「凰火?」
 頭上を見上げようとする凶華の頭を、凰火ががしっと手で掴んで阻止する。
「こら、放せ凰火。眼鏡の分際で凶華様の頭を掴むなどと…」
「みな、いで…くださ…!」
「!?」
 凰火自身も、自分から出されたあまりに震えた声に驚く。
「凰火?何かあったのか?凰火?全くさっきからおかしな態度を取りおって…凶華様に隠し事など
死んでも早いぞ!」
 凶華は凰火の顔を見ようとはせず、頭を固定している手にそっと自分の手を重ねると優しく撫でた。
 そのまま再び自分の身体に回すよう促し、指と指を絡める。
「凶華……」
 ずずっと、鼻水をすする音がする。
 泣いている、凰火が泣いている。
 あまりに珍しい状況に落ち着かない心をなんとか押さえつけ、凶華は凰火に問いかける。
「凰火?貴様と凶華様以外ここには誰もいないのだ」
 だから何でも話せ、という凶華の優しい声に凰火は更に瞳から涙を零しながらも口を開いた。
「……夢を……みたのです」
「夢…?」
「……情けないので、話したくはなかったのですが……」
「貴様が情けないのは今に始まった事ではないだろうが。安心しろ、凶華様は笑わない」
 そう言う凶華の声にからかいの色など一切なく、凰火は素直に言葉を吐き出した。
「下らない夢です……いつものように事件に巻き込まれて…そして……、家族が一人ずつ死んでいくのです」
 その場面を思い出したのか、凰火が嗚咽を漏らす。凶華はあぁ、それれは辛かったなと母のような
声で言う。そっと、凰火の手を撫でながら。
「僕は何も……何もできなかった…。優歌が、千花さんが…銀夏くんが…帝架や雹霞、月香までもが
無残に殺されていくのです。僕は身体を縛りつけられ叫び泣き喚くことしかできなかった」
 くぐもったうめき声が、凰火の口元が直接触れた凶華の頭に響く。
「そして凶華……あなたも……」
 こんなみっともない凰火は初めてだ。だから、凶華は。
「この馬鹿眼鏡が!」
 凰火の腕を振り払い強引に身体を反転させ向き合い。
「そんなものただの夢だろう?!凶華様が貴様より先に死ぬものか!甘く見るな家族全員そんな
死に様晒させるものか阿呆眼鏡ヘタレ眼鏡!」
 凰火のぐちゃぐちゃになった泣き顔に怒鳴りつけると、さっと眼鏡を取り上げ。
「頼もしいことにこの凶華様は全知全能なんだぞ?」
 優しい声で囁くと凰火の頭を自分の胸に引き寄せ、ぎゅっと抱いた。
「馬鹿だな、甘えるっていうのはこういう風にされるものだ。さっきのでは凶華様を甘やかしていただけだ」
 凶華の頬は赤く染まっているが平らな胸に顔を押し付けられているので凰火には見えない。
 その代わりに明らかにとくとくと速いリズム鳴り続ける心臓の音が聞こえた。
「凶華……」
 胸で凰火が呟くと、くすぐったかったのか、ひゃっと高い声を出して凶華が離れた。
 そのまま凰火と視線が絡み、見詰めあう形になる。
 至近距離なので、眼鏡がなくとも凰火の瞳にはなんとか凶華が映っている。そして、視界の中の凶華が
ぷっと笑った。
「本当に、ひどくみっともなくて間抜けな顔をしているな貴様」
 夫が落ち込んでいるというのに馬鹿にするとは、さすが凶華とは思うが面白くないのも事実。
 くすくす笑う凶華に腹を立てそうになっていると、ふと頬を小さなてのひらで包まれた。
「そんなみっともない顔、凶華様以外には見せるんじゃないぞ?」
 次の瞬間、触れるだけのキス。
 涙に濡れた瞳にも。ちゅっ、ちゅっと凶華はキスを送った。口内にしょっぱい味が広がった。
 先程とは違う笑顔。猫のように笑う凶華に、つられて凰火も笑顔を取り戻した。
「はい、凶華にだけ甘えますので安心してください」
 そう言うと今度は凰火から、凶華の胸に顔を埋めるように華奢な身体を抱きしめた。

 

「非常に、入りづらい雰囲気であるな…どうする雹霞」
「別にいいんじゃない?入っちゃおうよ見たいテレビもうすぐ始まるし」
「ささささささっぱりだめだよ!邪魔しちゃだめなんだからね!」

 リビングの扉の外には三人の子どもたちがひそひそ会議中。

「凶華……………非常に申し上げにくいのですが」
「ん?なんだ今更。何でも言えといっているだろうが」
「その…、鼻水が…凶華の服に……………」


 その瞬間、甘い空気が一瞬にして消え去った。


「ぬぁああ!何故リビングが爆発するであるー?!」
「テレビ……」
「さっぱり邪魔しなかったのにやっぱりだめだよ…」


乱崎家、今日も平和です。

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